♪♪ 415通信 47号 ♪♪
2001年3月25日発行


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【415ニュース】

 いよいよ来月、4月から毎週の練習が始まります。バッハのバス独唱も秋山 啓さんにお引受けいただけました。6月には男声の、特にバスの発声も見ていただけることになりました。すでに歓送迎会を行ないましたが、年度末を機に若干の移動もありました。新たに入会された方々は初めての演奏会に向けて、それ以外の方は新たな気分で練習に取り組んでいただければ幸いです。また、退会・休会された方はそれぞれの地でそれぞれの新しい夢と希望に満ちた道を進まれることをお祈りしています。いつか機会があればまたご一緒に歌いたいものです。楽しみに待っています。だって、一度は苦楽をともにした仲間ではありませんか。

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【会員動静】

 前回お知らせした後も、毎週のように新入会や見学の方があります。OPEにとっては大変に嬉しいことです。歓迎会も行なわれることですし皆さんでお世話をお願い致します。前回の練習で会員カードをお出しいただいた方々を以下にご紹介します。
 柴山陽子 ソプラノ〒703-8231 岡山市×××
 左近恵美 アルト〒678-0031 相生市×××
 平岡憲一 テノール〒719-1161 都窪郡×××
 小橋示知久 バス〒704-8196 岡山市×××
 ソプラノの西村理香さんはご結婚のためしばらく休会されます。また、アルトの佐藤祐季子さんも音楽以外のやってみたいことを実現するためにしばらく休会されることになりました。お二人とも早い復帰をお待ちしています。アルトの山本みずゑさんもご主人の転勤で県北に転居が決まり、引っ越しのため1ヶ月ほどお休みされるそうです。遠方で大変でしょうが、出来るだけ参加していただければと思っています。

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【練習計画など】

 

4月7日(土) 合唱:18:00〜20:50 京山公民館
4月15日(日) 山本栄子さんピアノコンサートに出演:詳細は未定
4月22日(日) 器楽:10:00〜13:00 芳田公民館
4月22日(日) 合唱:13:00〜16:30 芳田公民館
4月28日(土) 合唱:18:00〜20:50 京山公民館
5月13日(日) 器楽:10:00〜13:00 芳田公民館
5月13日(日) 合唱:13:00〜16:30 芳田公民館
5月19日(土) 合唱:18:00〜20:50 京山公民館(脇本さん発声指導)
5月27日(日) 器楽:10:00〜13:00 芳田公民館
5月27日(日) 合唱:13:00〜16:30 芳田公民館
6月2日(土) 合唱:18:00〜20:50 芳田公民館
6月10日(日) 器楽:10:00〜13:00 芳田公民館
6月10日(日) 合唱:13:00〜16:30 芳田公民館
6月16日(土) 合唱:18:00〜20:50 京山公民館(秋山さん発声指導)
6月24日(日) 器楽:10:00〜13:00 芳田公民館
6月24日(日) 合唱:13:00〜16:30 芳田公民館

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【フランス・シャンソンとクレマン・ジャヌカン】

  イタリアを中心に発展してきたイタリア語による世俗曲をマドリガーレ(マドリガル)と呼び、イギリスで発展してきた英語による世俗曲をマドリガルと言い、ドイツでのそれらをリートと呼ぶように、中世〜ルネサンス期にフランス(場合によってはフランドル地方を含む)を中心に発展してきたフランス語による世俗曲を、一般にシャンソンと呼んでいる。内容的には騎士同封の愛の雅びを歌ったブルゴーニュふうの宮廷的な抒情に満ちたものが多かった。また、宗教的性格をもったシャンソンも作曲されていた。
 15世紀のシャンソンは3声が普通であったのに対して、16世紀にはいると4声の作品が増えてくる。一方、歌詞定型の束縛が次第に薄れていく。構成的には、それまでのディスカントゥスとテノールに重点が置かれていたものが、オブレヒトやデ・プレの世代になると、次第にポリフォニックな傾向が強まり、全声部が一つのモチーフで結びつけられ、モテトゥスにもにた通模倣様式によって作曲されるようになってくる。内容的には、羊飼いの娘や市井の男女の会話を扱ったものが多くなり、市民的性格が濃くなっていく。以前の演奏会で取り上げたデ・プレの「千々の悲しみ」などは、当時広く愛唱されるとともに器楽編曲もされていた名シャンソンであった。
 16世紀前半のフランス音楽は、徹底して世俗シャンソンを中心にして展開していった。その歌詞の内容は、新興フランス市民の生活感情を反映したものが多く、軽妙であり、粋であり、ときには卑猥でさえある。美しい5月の野に踊り、とびはね、羊飼いの娘を捕まえては接吻におよぶ。亭主のお人好しを幸い、<コッ、コッ、コキュー、コキュー>と鳴くニワトリの世話を押しつけ、自分はこっそり楽しみごとにふける横町の女房。さては、嫉妬に狂う亭主に柄杓や鍋を投げつけられ、<夫は老いぼれ、私は若い>とつぶやく若妻。さながら当時の庶民生活を描いた版画をたぐってゆく思いがある。ここではもはや、15世紀ブルゴーニュ楽派の宮廷ふうのシャンソンは影を潜めてしまっているのである。しかし、一方では、クレマン・マロ、ピエール・ドロンサールらの格調高い詩も、多数作曲されていた。
 16世紀前半のフランス・シャンソンは、比較的ホモフォニックな傾向が強く、民謡ふうのフレーズの明確な、生気ある舞曲ふうのリズムによる旋律を中核に、4声曲の形で展開していくものが多い。特に冒頭に、   のリズムが現われる傾向があり、楽節の区分も整然としたものが好まれ、その各節はそれぞれ明確な終止型で結ばれる。和声的には機能的な進行が目立ち、調性的な傾向さえ明確に指摘しうる、全体として、有節歌曲の形、あるいはabaとかabacaといったような明快な形式にまとめあげられ、前代のロンドーやヴィルレーといった歌曲定型は、ほとんど姿をひそめてしまっている。ポリフォニックな模倣も部分的には現われることがあるが、フランドル楽派のように模倣が自己目的を持って追求されることはなく、あくまでも楽曲展開の一手段に過ぎない。
 歌詞と音楽との結びつきは密接であり、フランス語のイントネーションが音楽のリズムの中に適切に生かされている。ただし、16世紀前半のシャンソンにおいては、音楽は歌詞の大体の雰囲気を暗示する程度で、音楽自体の自由な展開が中心になっており、この世紀後半のシャンソンやマドリガーレに見られるような一語一語に即した音楽と言葉の抜き差しならぬ緊張関係はさして強くない。
 16世紀前半のフランス・シャンソンの作曲家として最も注目すべき存在は、クレマン・ジャヌカン(Cl士ant Janequin, 1485頃-1558)である。その生涯については不明の点が多いが、フランス中部のロワール河の支流ヴィエンヌ川沿いの小さな町であるシャテルローで生まれた。この町から30kmほど南に下がると、ポワトゥ地方の中心都市ポワティエがある。その少年時代については何一つ知られていないが、この町のノートル・ダム教会で、少年聖歌隊員として音楽教育を受けたことは充分に考えられる。その後、聖職者となるとともに、ボルドー、アンジェなどで教会音楽家として活躍し、1555年には齢70歳にしてアンリ二世によって「王室聖歌隊常任歌手」に任命され、さらに1558年頃には当時の音楽家にはほとんど与えられることがなかった「国王の常任作曲家」という称号を与えられている。
 現存するジャヌカンの作品はミサ2曲、モテトゥス1曲、若干の詩篇曲、宗教的シャンソン約120曲、世俗シャンソン約250曲などで、圧倒的に世俗曲の数が多い。一生のほとんどを教会音楽家として、また聖職者としてすごしたにもかかわらず、その作品には世俗曲が支配的である点に、この時期のフランス音楽家の独特なあり様がうかがわれるのである。
 彼の標題シャンソンは特に有名である。鳥のさえずり、市場の雑踏、戦闘の場面などを、擬音効果を加えて模写的に扱った、かなり長大な作品である。「戦争LaGuerre(マリニャンの戦いLa Bataille de Marignan)」は、1515年9月フランス王フランソア1世がミラノ近郊マリニャーノでスイス傭兵団を中心とするミラノ公軍を破った勝利を歌っている。戦いのラッパや太鼓、砲声などが擬音的に4声合唱で歌われていく。この曲はイタリアやドイツにも知られて器楽編曲され、またジャヌカン自身によって4声ミサとして改編されている、
 同じく4声の標題シャンソン「鳥の歌La chant des aiseaux」は、鳥のさえずりを扱った作品である。冒頭のモチーフが何回も反復され、いわばロンドふうに展開していく。実は彼と同時代のフランドル楽派の作曲家ニコラ・ゴンベールにも3声の「鳥の歌」があり、歌詞も音楽もほぼジャヌカンの作品と同一の動きを示す。ジャヌカンの作品は1528年頃、ゴンベールのものは1545年頃に出版されており、おそらくジャヌカンの作品をゴンベールが模したのであろうが、しかし出版年代と作曲年代とは必ずしも一致せず、またゴンベールの作品の方がジャヌカンのそれよりも寝れたポリフォニー書法をしめしている事実も見落とせない。
 そのた、ジャヌカンの標題シャンソンとして「ひばりLユAlouette」、「狩Lachasse」、「パリの雑踏Les Cris de Paris」などが有名である。こうしたタイプの表題曲は、すでに14世紀のシャスやカッチァにはじまっており、特にジャヌカンによって創始されたものではなく、またジャヌカンの擬音効果は同一の和音の上に細かい音符を反復していくだけの単純なものが多いが、しかし独特のユーモアとエスプリとのゆえに注目すべき作品となっている。
 同様に、もっと小規模な、歌謡ふうのシャンソンにも味わいと魅力がこめられている。「すてきな遊びAu joli jeu」、「わが苦しみは大きからずMa peine nユest pasgrande」、「美しいこの五月にA ce joli mois」、「愛と死と生とLユamour, la mortet la vie」、「恋の手習いIl estoit une filletre」、「この五月Ce mois de mai
」など、それぞれ独特の旋律美と輝きを蔵した佳曲である。
ジャヌカンとならぶ16世紀前半のシャンソン作曲家として、クロード・ド・セルミジ(Claude de Sermisy, 1490頃-1562)、パスロー(Passereau)、ピエール・セルトン(Pierre Certon, ?-1572)らの名があげられよう。彼らはパリを中心に教会音楽家として活躍していた人びとであり、ミサ、モテトゥスなどの宗教作品も残しているが、中心はあくまでも世俗作品である。なかでもセルミジにはジャヌカン以上に洗練された作品が多数見出され、「わが命ある限りTabt que vivray」のように、その流れる旋律の魅力が注目される。また、パスローの「うちの亭主はお人好しIl est belet bon」も、簡潔な模倣による対話のなかに風刺的な歌詞を展開していく、愛すべきシャンソンである。
 16世紀後半にはいると、フランス・ルネサンス・シャンソンは当時の詩人ピエール・ド・ロンサールらによるプレイヤードそしてアカデミーの運動によって、されに繁栄の道をたどっていくことになる。これらについては、また機会を見て解説することにして、今回はジャヌカンを中心とする16世紀前半のフランス・シャンソンの概要をまとめた。
   (皆川達夫著 西洋音楽史 中世・ルネサンス、今谷和徳著 ルネサンスの音楽家たち、より抜粋)

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【演奏会ご案内】

 あの大村恵美子先生率いる東京バッハ合唱団が、5月12日(土)に東京の石橋メモリアルホールで「祝典のバッハ」と題して第89回定期演奏会を開催されます。曲目はバッハのカンタータ第9、51、29、140番です。独唱は佐々木正利先生他です。招待券を2枚いただいていますので、言ってみたい方は坂本尚史までお申し出ください。特に、東京に出張予定の方、東京近辺にお住まいの方、いかがですか?

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【編集後記】

 3月、4月は卒業、入学、就職、転勤・移動のシーズンです。これまで一緒に歌ってきた仲間、一つの研究室の中で研究をともにしてきたゼミ生たちが新しい生活に旅立っていきます。そして、新しい仲間が加わって、また1年が始まります。大変おめでたい一方で、一抹の寂しさも感じられます。OPEでもいくつかの別れがありました。それぞれが希望に満ちた生活を送られることを心から祈念しています。気が向いたときに、いつでも顔出していただきたいと願っています。
 4月を目前にして、さくらのつぼみも膨らんできました。毎週3日は約20分の道のりを徒歩で通勤しています。道ばたの野草が芽を吹きはじめました。昨日つぼみだったものが今日は花を咲かせているなど、毎日変化があって大変楽しいものです。皆さんも車や自転車ばかりでなく、たまには歩いてみませんか。新しい発見があるかも知れませんよ。 

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2003/01/10 16:53