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遠い遠い昔、私、郎女がまだ乙女だったころ。
……って、たしか中学生くらい、だったでしょうか。「ナルニア国ものがたり」を読んで、突然、児童ファンタジーに夢中になったんですね。
「似たような傾向のもの」と、だれかに勧められたんだったか、ファンタジイ解説書で読んだんだったか、ともかく、岩波の児童書「ホビットの冒険」を手にとりました。
おもしろかったのですが、ナルニアが7巻ありましたのに、「こちらはこれで終わりかいー」と残念がっていたところ、続編の「指輪物語」が評論社から文庫で出ていることを知りました。
買いました。
古本屋で買ったんだか、どーだったか、ともかく、手元にある文庫本は、蟻のように細かい文字がぎゅーぎゅーにつまった初版本で、昭和52年4月10日発行。
カバー裏は、トールキン教授の写真です。
昭和52年といえば、1972年。
トールキン教授の没年が1973年ですから、まだ生きておられたわけです。
25年前です。生まれたばかりの子が、大人になる歳月。すごーいですね。
ナルニアどころではありませんでした。はまりまくりました。
なにがよかったってー、まじめにお答えしますと、歴史があって、伝承があって、遺跡があって、しかもその歴史が、伝承が、遺跡が、物語の現時点に蘇り、生きて、新たな伝説が生まれる、その壮大な世界観です。
でー、邪モードでお答えしますと、レゴラス&ギムリです。
エルフとドワーフという、犬猿(って、どっちが犬でどっちが猿だか。弓も斧もこわい!)の仲の異種族。
ロミオとジュリエットのように(ほんとかいー)、反目しあっていた二人が、やがて見つめあい、愛しあい、(いやー、まあー、なにげにちがうよーな気もー)、ついには、ともに永遠の時を契りあうのです。
とにもかくにも、萌えました。
当時はお小遣いも少なく、貧乏でしたので、「シルマリルの物語」は古本屋で買いました。
これも初版本、昭和57年1月30日発行です。上1300円、下1900円のところ、2冊で2200円になっていました。
いや、しかし、エルフの歴史が書かれていると聞いていた「シルマリルの物語」、エルフはエルフでも、レゴラスと父スランデゥイルの一族は蚊帳の外。その祖先についても、さっぱり、なんにも載っておりませんで、がっかりしました。
なにはともあれ、そんなわけで、私の指輪読書歴は、「ホビットの冒険」→「指輪物語」→「シルマリルの物語」という、しごくまっとーなものだったのですが。
それにいたしましても、しかし。
まあ、レゴラスもギムリも脇役ですし、原作の描写が短く、短いがゆえに想像力をかきたてられる、かんたんにゆってしまいますと、妄想力がうごめく、ということなのですが、さすがの私も、乙女のみぎりから、それほど危ない妄想を抱いていたわけではありませんで。
濃い男の友情に、そこはかとない色気を感じたわけなのですが、なんといいますか、そういう強い絆の友情って、露骨な関係以上に、乙女心にせつなく、魅力的じゃないでしょうか。
新書館発行の「指輪戦争ファンタジイ」と「指輪大戦争ファンタジイ」、これも古本屋で買いました。
ラルフ・バクシ監督の指輪物語アニメが紹介されていたんですが、ま・っ・た・く、美しくないんです。レゴラスが。
アニメを見たいと思わなくなりました。
北欧神話、ケルト神話を読みあさり、ファンタジイ好きになりました。
好きな作家は、トールキン教授をのぞけば、女性に偏っています。
パトリシア・A・マキリップ、マリオン・ジマー・ブラッドリー、タニス・リー。
和物では、別役実の「そよそよ族伝説」。
乙女は年降り、年降りといいましても、もちろんガラさまほどじゃありませんが、なぜか年降ってから、どっぷり同人界に入り、邪友達がたくさんできたわけなのですが、その中の映画好きのお友達から、去年の12月、「指輪物語実写映画がもうすぐ欧米で公開」と聞かされまして、当初は、「実写!? うーん」と乗り気じゃありませんでした。
しかし、教えられるままに予告編をDLして、胸騒ぎは高まりました。
予告編はぜひ、こちらのLotR映画オフィシャルサイト(英語版)から、FULL SCREENでDLしてご覧になることをお勧めします。迫力です。
レゴラスが……、ともかくレゴラスが、写真で見たときは「どうよ?」と懐疑的だったのですが、動くといいーんです。CGの感じも悪くなく、これはいける! と胸騒ぎがはじまりました。
胸騒ぎの導くまま、LotR映画を見る前に、「指輪物語」によせてまとめた随想「反近代の夢想」は、親サイト「天の原異聞」に載せてあります。映画を見た後に付け加えた感想が、なにげに邪ではあるんですけど。
親サイトの日記、「郎女迷々日録」にも、萌えトークがけっこーありますので、それは、「過去の指輪日記」として、こちらにまとめてみました。
3月。見ました。公開を待ちかねて、映画を見ました。
原作至上主義者としましては、不満がないわけじゃありませんでした。
レゴラスとギムリの描写は、ただでさえ少ないのに、その上、省かれてましたし。
アルウェンはしゃしゃり出てきますし。
小さい人たちってー、もっとおっさんくさかったはずー、とか。
しかし、「これはこれでいいんじゃないかな」と、納得させてくれる出来ではありました。
なにより、あの膨大な物語が要領よくまとめられていて、初心者にもわかりやすいんですね。原作を読んでいない母をつれて見にいったのですが、母も「おもしろい」といっていましたし。
「わかりやすい」観点からいくと、レゴギム描写の省略も、のさばるアルウェンも、「仕方ないかな」の範囲でしょう。登場人物の整理と脇筋の省略がなければ、展開が複雑になりすぎます。
まあ、そんなわけでして、もう一度、二度、三度、「指輪物語」を読み返し、とばし読みしかしていなかった「シルマリルの物語」もじっくりと読み返し、成長して一段と魅力をました初恋の人に、再会した気分を味わっています。
映画公開と同時に、邪友達が邪にはまってくれまして、夏コミで、合同本を出すこともできました。その合同本の内容と同人活動につきましては、こちらの「同人誌活動情報」をご覧ください。
再燃した「指輪」への恋は、初恋の性急さはありませんが、じっくり、しっくり、じわじわとー、心を満たしてくれます。
熱い想いにせかされて、ついには、サイトを開くこととなりました。
しょーもないおしゃべりばかりですが、そして、私の趣味でエルフ中心ですが、ともにLoeRの世界を楽しんでいただければ幸いです。