◇◆◇　ロンダの夕暮れ　◇◆◇
　ロンダはグアダレビン川が刻んだ深いタホ谷によって新市街と旧市街に隔てられている。今日の宿はスペインに来たら一度は泊まってみたいパラドール。タホ谷に架かるヌエボ橋の新市街側にある。
　市内を走っているといつの間にかヌエボ橋らしい橋を渡っていた。手前にあった建物がパラドールのはずだが気付かなかったようだ。
　せっかくなので旧市街側を少し走り，サンタ・マリア・ラ・マヨール教会でＵターンして戻る。
　橋を渡った所にパラドールのＰのマークが見えた。外見はそんなに古い感じではない。ＥＩＫＩが車を地下の駐車場に止めている間に，チェックインの手続きをした。
　部屋からは谷は見えないが，スペイン広場が見えた。とても広く，洗面台にはアメニティが揃っている。

　５時半を回っていたが，まだまだ外は明るいので散策してみることにした。まずは部屋から見えていたスペイン広場に行ってみる。なぜかそこには桜が咲いていた。スペインだしアンズやアーモンドかもしれないが，花の感じや木は桜みたいだった。そして菜の花も。日本の春を少し早く体験したようだ。でも，よく見ると桜の木の下には大きな葉っぱのサボテンが生えていたりするとこがスペインらしい。
　谷に突き出した展望台から下を眺めると足がすくみそうだ。旧市街側の白い家が谷にせり出すように立ち並んでいる。今日泊まるパラドールも然り。こんな所によく街を作ったものだ。谷の下には何もない広大な大地が広がっている。ここは自然の要塞だったのだ。

パラドール・デ・ロンダのお部屋	落ち着きがあって素敵な雰囲気♪	ベランダからの眺め スペイン広場

パラドール外観と桜	大きな葉っぱのサボテン

旧市街側	緑の中に薄いピンクに見えるのは 満開の桜（？）の木々	新市街側の絶壁

　ヌエボ橋を渡り，旧市街側の崖沿いを歩いていくと，谷の下に続く小道を発見した。何人か人が下りていくのが見える。面白そうなので行ってみることにした。
　満開の桜の木々の間を通り，どんどん下りていくとヌエボ橋がよく見えるスポットがあった。歩いて10分くらいでヌエボ橋を下から眺めるには絶好のスポットだ。そしてこの場所自体にも古い石塀やトンネルのようなものがある。昔の城壁の一部なのだろうか。
　ここで一人で旅をしている日本人男性に出会った。彼はここで日が沈み，ヌエボ橋が赤く染まるのを待っているのだという。一人で待つ時間を彼は寝転がりじっとヌエボ橋を眺めて過ごしていた。
　今日の天気は悪くはないが，残念ながら夕焼けになりそうな空ではない。夕方になり谷の深いロンダは寒くなってきた。私達は「赤く染まるヌエボ橋」に心ひかれながらも坂を登り戻ることにした。
　途中，ちょっと道をそれて旧市街を眺めてから元の道に戻ってくると，ヌエボ橋にライトが点き始めている。「赤く染まるヌエボ橋」は無理でもライトアップされたヌエボ橋もきれいに違いない。もう少し待ってみることにした。
　７時を回りようやく薄暗くなってきたが，夜景として美しくなるにはもう少し時間がかかる。どんどん寒くなるしおなかも減ってきた。あきらめて坂を登り戻り始めたが，振り向くといい具合に暗い中にヌエボ橋のライトアップが映えていた。しかしもうさっきのスポットのようにヌエボ橋の全体像は見れない。

１００ｍをこえる深さの タホ谷にかかるヌエボ橋 橋の左横に建っているのが パラドール

ヌエボ橋を眺めていたスポット周辺。ここ自体も城跡の一部なのだろうか？

静かに暮れていくのを待つ	日が沈んだ頃ヌエボ橋に明かりが点いた	ここまで暗くなるのは待ち切れず 坂を登ってきてしまった

　ヌエボ橋の周辺にはバルやレストランが多い。メイン通りは高そうなので一本裏に入ってみる。８時前だがまだまだお店に来ている人は少ない。
　メニューを見比べながらうろうろしていると，呼び込みしているおじさんにつかまった。「パエリアがおいしいよ。」と勧めてくる。昨日パエリアは食べたところだけど...。しかし，おじさんの熱心な呼び込みに負けた。お客がいっぱい入っているお店を選ぶべし，という鉄則が崩れた。まだお客は誰も入ってない。おじさんは私達がちゃんと席に着くのを確認すると，メニューだけ渡してまた呼び込みに外へ出ていった。
　パエリアがおいしいということなので，パエリアとチョリソーを頼む。昨日みたいに大きなお皿で来たら困るのでとりあえず様子見だ。待っている間，おつまみのように置いてあるオリーブの実をつまむ。
　出てきたパエリアは昨日と違って適量。昨日のお値段の３分の１くらいだからこんなものだろうか。味はこちらの方がおいしかった。さすがにこれだけでは足りなかったのでもう一品頼むことにして，おすすめの料理を聞いてみた。「フロッグフィッシュの串焼き」と言っているようだが，フロッグフィッシュって何だ？昨日のお店で隣の人が串にお肉や野菜が刺さったバーベキューの串焼きみたいなのを食べていておいしそうだったので，頼んでみることにした。出てきたのは見た目昨日隣の人が食べていたようなもの。フロッグフィッシュは食べたことがない味。ぷりぷりした白身の魚だった。
（フロッグフィッシュとはイザリウオの仲間らしい。と言ってもイザリウオも分からないぞ。）