◇◆◇ 2002.2.22 PARTV ◇◆◇

◇◆◇ サグラダ・ファミリア ◇◆◇
 サグラダ・ファミリアはカサ・ミラの屋上からも見えていた。高い塔を目指して歩いていくが,意外に人が少ない。普通のサグラダ・ファミリアに向かうルートではないのだろうか。まあ,すぐ横にメトロの駅があるからメトロを利用する人が多いのだろう。
 サグラダ・ファミリア前の広場に着いた。それにしても大きい。すでに全体像がカメラのフレームに収まりきらない。もう一つ印象的だったのはクレーンが多いこと。もちろん今だ工事中なのは分かっていたが,本当に工事現場だ。(後で分かったのだが,ここは南西の広場で,よく見るサグラダ・ファミリアの図は北東の広場からのものだった。)
 ここまで歩いてきて疲れたしおなかも減ったのでベンチに座って昼食とした。昨日の夜のバルで買ったパン。結局夜も朝もご飯が出てきたので昼間で持ち越しとなっていたのだ。屋台にジュースを買いに行ったEIKIが「ぼったくりやー。」と怒って帰ってきた。プラスチックのコップに入ったオレンジジュースが5ユーロ。そりゃ高過ぎ。
 向かいのベンチにいた親子がボール蹴りをはじめた。男の子は2,3歳くらい。お父さんが蹴ったボールを上手に蹴り返している。小さいのになかなか上手だ。将来はサッカー選手かな。時々蹴り外したボールを追ってちょこちょこと走っているのがとてもかわいかった。
 受難のファザードから中に入る。入り口の彫刻を見上げると,なんだか直線的で近代的な感じがした。この部分はガウディの死後つくられた部分だ。そもそもサグラダ・ファミリアは1882年に着工,1883年からガウディに引き継がれ,1926年にガウディが事故死してからも尚建設中で,完成は200年後とも言われているのだ。はたして完成する時は来るのだろうか。
 このキリストの磔の部分もガウディの手にかかっていたならば違った形になっていたに違いない。すべてをガウディが完成させたところも見てみたかったと思うが,このように世紀を超えて何人もの人の手により創られていく建造物と言うのは,最近のものがあっという間に完成するだけのことで,歴史の中では多々ある。どちらにしても完成を見ることができないと言うのは残念なことなのだけど。
 内部に入るとまだまだ工事現場のような足場がたくさんあり,白い石膏を削っているのを見ることができた。結構若い建築家の人たちが仕事に携わっているのに驚かされる。某コーヒーのCMでおなじみになった外尾悦郎氏もいないかなあと思ったが姿は見当たらなかった。
 現在,建設にはコンピュータを使って角度や強度など解析しているのだが,当初はどうだったのだろうか?ガウディの作品だけではなく,古代の遺跡にしても,コンピュータを使うわけでもなく,様々な複雑な形の建造物が生み出されてきたのは奇蹟だと思う。どこだったか,古代の円形アーチの橋が戦争で壊されてしまったが,あのような完璧な円形の橋を現在の技術でもっても復元できないと言うのを聞いたことがある。昔の建築技術がいかに高かったのか,技術は発展しているものとばかり思っていたのが,そうとは限らないのかもしれない。ガウディの作品の場合は技術以上に彼の独特のアイデアによる部分が大きいため,ますます彼のイメージとはかけ離れていくのかもしれない。
 内部のエレベーターを使って尖塔に上ってみることにした。受難のファザード側にいたので,何気にそのまま上に上がってしまったのだが,エレベーターは2ヶ所あって,受難のファザード側の尖塔と降誕のファザード側の尖塔とは上では行き来できない。受難のファザードはまだ工事中の部分が多いので,降誕のファザード側に上った方が面白かっただろうと思う。
 エレベーターの代金は乗った時にエレベーターガールならぬボーイに渡す。6人ずつくらいしか乗れないので結構人が並んでいた。エレベーターを降りてさらに少し階段で上るのだがかなり狭い。塔と塔の間の部分に橋がかかっているので,そこから向かいの塔やバルセロナの街を眺めることができる。
 降りる時はエレベーターも使えるのだが,せっかくなので階段を下りてみる。ぐるぐると回る螺旋階段はどこまでも続いているようで,外も見えないのでいったい今どのくらいの高さにいるのかもわからず目が回りそうだった。
 降誕のファザードから外に出て,上を仰ぐ。こちらはガウディが完成させた部分。キリストの降誕を描く彫刻やファザード自体の飾り彫刻も細かくガウディらしい感じがする。アルハンブラ宮殿のニ姉妹の間やアベンセラッヘスの間の鍾乳石飾りにも似てグロテスクな印象さえ受ける。こちらを見ると受難のファザード側がますますシンプルなものに思える。
 降誕のファザード側の出口から出ると,目の前に公園と池がある。そのベンチに座ってサグラダ・ファミリアを見た時,よく目にする図はここから見たものなのだと分かった。緑色に濁った池とガウディの手による複雑な彫刻が施されたサグラダ・ファミリアの降誕のファザード。最初に見た時違和感を覚えたのは,工事の足場の多い受難のファザード側から見ていたからだったのだ。

サグラダ・ファミリアの塔が
見えてきた
受難のファザード側から キリストの磔
近代的な感じの彫刻

菊の花のような透かし模様 受難のファザードから
降誕のファザードを見る
イチゴのようなブドウのような...

カタツムリの殻のようならせん階段 森をイメージした建築

降誕のファザード側から 彫刻の細かい降誕のファザード


◇◆◇ ナイトライフの楽しみが... ◇◆◇
 メトロのサグラダ・ファミリア駅に降り,地下鉄でいったんリセウまで戻る。先ほど開いてなかったチケットオフィスに行くためだ。
 バルセロナのメトロは全線均一料金。私達はタルヘタT-10という10回分の回数券を買った。6ユーロ。6回乗れば元が取れる。はじめ自動券売機があり,カードが使えるようだったのでクレジットカードを差し込んだのだが,その後の操作方法がよく分からず結局窓口で普通に買った。駅員さんが親切に一人がまず通ってから,もう一人に券を渡して通ればいいと身振り手振りで説明してくれる。回数券なので複数人で使えるのだ。
 外国の地下鉄と言うと何となくうすぐらいイメージがあるのだが,バルセロナの地下鉄は意外に明るくきれいだった。車内もきれいで驚いた。私的にはロンドンやNYより○。ホームでは電光表示板で電車がくるまで後何分何秒とカウントダウンしている。結局どれくらい正確に電車が来たのか見逃したが,さすがに今日の朝の夜行列車みたいなことはないのだろう(笑)。乗り降りする時は扉横のボタンを押して,扉を開ける。2駅乗ってディアゴナル駅で乗り換え,リセウ駅まで更に3駅。ついでにホテルのチェックインを済ませておいた。
 リセウ劇場に行くと前には数人の人が並んでいた。前の人達が渋い表情で出てくるのでなんだかいやな予感がしていたのが的中。一応2つ残っていたのだが,まともに見えないような本当に一番端の席とちょっとマシだけど後ろの方の席のみ。受付の人はこんな席は見えないからやめておいた方がいいみたいなことを言う。チケットを売る立場の人がそんなん言っていいんかい,と思いつつ,それでも買おうかどうしようか迷ったけど結局諦めた。EIKIはあんまり興味がなかったのか,一人でマシな方の席買って見ればなんて言うけど,今日は旅の最後の夜なのにそれも寂しいし。こっちに来て風邪であまり夜に活動してなかったし,せっかく宿も近い所に取ったのにかなり残念。名残惜しげに中を覗きこんで,赤絨毯とシャンデリアを眺めたりして...
 他にどこかないかと思って,カタルーニャ音楽堂に行ってみることにした。カタルーニャ国立劇場という結構新しい劇場もあるのだが,こちらは事前に調べていて今日の公演がなかったのだ。
 ちょっと怪しげな裏通りに入ってしまって,道端に座り込んでいる人達もいたので早足で歩いていくと,思いがけずカテドラルに出た。13〜15世紀に150年かけて建てられた大きなカテドラルだ。でも中には入らずに素通り。
 そこから少し行くとカタルーニャ音楽堂があった。ガウディと同じ時代の建築家ドメネク・イ・モンタネールによって1908年に建設された建物で,装飾がすばらしい。でも,ドアは閉まっている。内部の見学ツアーは15:30までとなっていて,時間が過ぎているのは分かるけど,普通のチケット売り場までなんで開いてないの?私達の他にもやってきた人がいたが,みんな諦めて帰っていく。どうやらここでもチケットが取れないらしい。今日の夜のお楽しみは結局何にもなしだ。

カテドラル
ここにも銀色の大道芸人が
カタルーニャ音楽堂
モザイクタイルの柱がかわいい


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