Give Me A Simple Life



  部屋は心の写し絵、というコピーで始まる「誰もいない部屋」と言うNHKのテレビ番組がありました。住人が留守にしている部屋のVTRを流し、それを見たスタジオ解答者が住人の職業を推理するという番組です。残念ながら、いまはもう放映されていないみたいですが、これまた「なんでも鑑定団」と並んで、大好きな番組でした。私の部屋に入ってみたら、やっぱり職業はすぐわかるかな・・。今日は部屋の中の私の持ち物のお話です。

  職業がすぐわかってしまうであろう、最大の理由はピアノ(音を出せない関係で電気式ですが)と多分普通より数多いMDやカセットテープ、メトロノーム、譜面、マイク、そしてドレスです。ここで、譜面までだったら、音楽関係とまでしかわからないでしょうが、派手系ドレスとボーカル用マイクで、歌手だとわかるのではないでしょうか。譜面や置いてあるCDなどをみれば、歌手のなかでもジャズということも一目瞭然でしょうし。ということで、職業あてクイズには向いていない私のお部屋ですが、皆が大体持っていてうちにはない、というものがいくつかあるのです。

  まず、テレビがない。
  いきなりこれはポイント高いのではないでしょうか。今日からは「紀子さま」と呼んでください(?)。そう、テレビないのです。買えないのではなくて(ほんとよ)、わざと置かない生活が学生時代から続いています。
  ほんとは紀子さまとは違って、実家にはありました。子供の頃の秋田では、見られる民放局が少なく、なんといっても、TBS系がないので年末のレコード大賞が見られないのが残念でした。それはさておき、持たなくなったきっかけは大学の学生寮に入ったこと。
  前にも書きましたが、ここは6畳に3人づつ暮らすという驚異的なシステムだったため(つれづれなる思い、引っ越し物語Second Halfをご覧下さい)、テレビは集会室に1つだけ。無論、チャンネル権は、先輩にあります。必然的にテレビとは縁遠くなりました。
  寮を出て、一人暮らしを始めたころは、もうすっかりテレビなしの生活に慣れてしまっていたので、買わず、それで特に不自由もなく、いままで暮らしています。ニュースは新聞で読んで、地震のときはラジオを聴いています。さすがにこの頃はアメリカ同時多発テロのニュースが気になって、頻繁にラジオNHKテレビを聴いていますが。ニュースのあいだに「ひるどき日本列島」があるので、坂本冬美さんが歌うテーマソングの「日々是好日」も覚えて好きになったし(照る日、曇る日、あなた想う日、日々是好日・・という歌詞なんです。なんかいいじゃないですか)、連続テレビ小説のストーリーもわかるようになってしまった・・。「ちゅらさん」が終わって、今度の「ほんまもん」のヒロインの声はアニメっぽいというか幼なすぎる感じがするなあ、でも今回は、子役は使わずに本人が最初から演ずるので、後半との違いを出そうと意識してのことなのかなあ、などと考えながら、なんとはなしに聴いています。テレビをこうしてラジオで聴いてみるのも面白いですよ。え、空しくないかって?まあ、たまには画面が見えたほうがいいかな、というときもありますが、慣れちゃっているので平気です。
  あっ、そうだ。一人暮らしを初めてから一度だけ、短い期間ですが、テレビを持ったことがありました。世田谷の野沢のアパートに住んでいたころで、引っ越しする友達からもらったのです。それが、なんと室内アンテナ付でリモコンなし、チャンネル式という、いまどきどこを探したら、こういうテレビがあるの?というような、それはまあレトロなシロモノでした。昭和40年代の青春ドラマの若者の部屋にはぴったりはまるような・・。それを持っていたときはニュースやワイドショーを見たりしてましたね。「なんでも鑑定団」も「誰もいない部屋」もこの頃はまだなかったと思います。しかしこのテレビは、さすがに年代物だったためか、次第に写りが悪くなり、最後は音声だけを聴いていました。ここに越す際に粗大ごみいきとなり、その後新たに買うことはなく今日に至っています。
  多分、最後は音声のみでラジオとしてしか用をなさなくなっていたことが、再び購入しようという気持ちにならなかった最大の理由でしょう。テレビなし生活は気に入っているので、今後もできるだけ続けようと思っています。

  次、電子レンジがない。これはテレビよりは普及率が低いと思うのですが、持っていません。これも前に住んでいたところは電気の契約が10アンペアしかなく、とても電子レンジなど使えませんでした。いまは20アンペアなので大丈夫なのでしょうが、使わない生活にすっかり慣れているので、全然不自由を感じません。もともとお料理は大の苦手だし(こういうこと書かないほうがいいのかな、でもほんとのことなので)、もし持ってしまったら調理に使うより、レンジ用食品を買ってしまう気がする・・。ということでこれも購入予定なしです。

  その次、電化製品じゃないんですが、体重計がない。これは前は持っていたんですが、ある日壊れて(私が乗ったから・・???)その後買っていません。ということは計っていないと体重は増えていくものなのかも・・・ぐすん。さすがにこれは、健康のために持った方がいいだろうなあと思うのですが、買いたくない理由として、適当な置き場所がないということがあります。これはお風呂の脱衣所と呼べるようなスペースがないので、お部屋のなかに置くのも嫌だし。最近は小型のものも出ているみたいですが、あれって縦にして置いておけるものなんでしょうか。だったら、どこかのスペースに入れてしまってもいいんですが。床に置くと場所を取るしなあ。うーん。前はメジャーも持っていなかったんですが、必要に迫られて、お得意の100円ショップで買ってきました。でも、自分のサイズを計るのは、通販で洋服の注文をするときくらいです。

  めだって持っていないものはこれくらいかな。本当は持ち物が少ないほうが好きなんですが、ワープロもFAX付留守番電話もPHSも仕事で使うので、持ってしまいました。まさに持ってしまった、という感じなのです。便利は便利ですが、なんだかその分手間が増えている気がする。とかいっても、こうしてホームページで皆さんとお会いできるのも、そうしたモノのおかげなんですね。感謝しなくては。でも、どこかで無理とは知りつつ、携帯電話を持たず、メールもやらないシンプルな生活に憧れてもいます。もちろん、テレビはなくてラジオだけ。場所は海の近くがいいですね。連絡は電話か郵便で。海辺で風に吹かれながら読む手紙はどんなにか素敵でしょう。こういうのって古いのかなあ。

  ほんとに便利なeメールですが、私がいつも納得いかないものに、こちらから送っているのに相手に受信料がかかるという点があります。郵便だったら、見ないで捨ててしまえばいいけれどeメールは受信するだけでお金かかっちゃいますよね。だから、ライブのご案内メールを出すのは、申し訳ない気もしてしまいます。(とかいいつつ、これ結局お送りしてますが)これって拒否できないコレクトコールのような気がするんですが。いまこのつれづれを読んで下さっている方も料金をお支払いいただいているんですよね。ほんとうに感謝、感謝です。

  Give Me A Simple Lifeというジャズのスタンダードナンバーがあるんですが、今度レパートリーに加えようかな、なんて考える今日この頃です。


大越 康子