バースデーウィークに10年間を振り返って・・



  うーん、ぶるぶる・・寒いよう・・。
  皆さん、風邪大丈夫ですか?大流行しているみたいですが。
  私はうがい、手洗い、マスクetc.ずっと厳戒体制をとっていたんですが、先日のバースデー&バレンタインライブが終わって気が緩んだらしい。暖かくして、ご飯を食べて、風邪薬と栄養ドリンクまで飲んでも、背中からゾクゾク・・。これは、まさしく風邪の初期症状。頭では「風邪ひいちゃいけない」とわかっているのに、体からは「もう風邪ひいて、ゆっくり休もうよ」とSOS信号。気をつけなくちゃ。

  さて、そのバースデー&バレンタインライブ。寒い日だったのに、今年も大勢の方が来てくださいました。感謝感激!バンドの方もピアノトリオの予定だったのが、急遽ギターの梅田光雄さんが演奏に加わってくれて、大盛り上がり!当日の様子は、追ってこのホームページのWhat´New?のコーナーでご覧いただけるようにしますので、お楽しみに。ライブに来られない方からも誕生祝いとライブ応援のメッセージをたくさんいただき、ありがたく、じんわりと幸せな気持ちになりました。私のイメージする幸せは、華やかなきらきらしたばら色というのじゃなくて、澄んだ空気の静かな夕方といったもの。地味だれど、気持ちが落ち着く静かなひととき。

  誕生日によせて思うのは・・。(って皇室の皆様の真似じゃないですが・・)
実は、特別に深い感想はないんです。意外なのは、年をとるのは嫌なことじゃないんだなってこと。確かに、前より疲れやすくなったり、外見も確実に老化するけれど、いろんなことがわかるようになる。わかるっていうのは、知識じゃなくて経験で。精神的にたくましくなっていくのが、自分でも心強い。モンダイは体のほうもたくましくなっていってしまうことかな・・・。年齢うんぬんよりも、自分のムードを持っていることのほうが、私にとっては大事かな。とかいいつつも、最近はやりのアンチエイジングクリームを使い始めました。

  考えてみれば、「バースデーライブ」と銘打って、2月にライブを行うようになってから、今年で7回め。その前から歌っていたので、人前で歌いはじめて今年でちょうど10年。10年って、すごいなあ。もうそんなにたったんだ。毎日いろんな人に会ったり、思いもかけないことが次々に起こったりするので、「えっ、これはどうしよう」とひとつひとつ取りくんでいるうちに、いつの間にか時間はたっていたという感じ。もちろん歌のほうも1曲1曲仕上げていくのだし。10年は早かったといえばそうだし、ほんとにいろんなことがあったといえばそれも確か。

  いま思えば、歌いはじめた頃はやっぱり大変だったな。何もわからず、いきなり人前で歌うことになったので(つれづれなる思い「ジャスボーカルを始めたきっかけ」参照)、レパートリーはないわ、下手だわ、それでお店からは怒られるわ、お客様と何をどういうふうに話したらいいかわからないわ、毎日がパニック状態でした。初めて半年くらいで、ついに貧血で倒れて、10日くらい休んだこともあったなあ。風邪が治らない、と思ったら、あるとき熱が40度を越えて、あのときは恐かった。40度もあるとかえって寒いとも熱いとも思わなくて、ものが食べられず、病院で点滴を打ってもらったのでした。おとなになってから、大きい病気をしたことのない私にとっては、あれがいちばん大変だったときかな。
歌のほうも、まだ歌手のタマゴなので、若かったこともあり、男性ミュージシャンから音楽とは全然関係ない電話が深夜にかかってきたりして、すごく嫌でした。決して「私モテたんです」って自慢してるんじゃないですよ。一応先輩だから無下にもできないし。早く一人前の歌手になって、対等に接したかった。まだ単独でライブはできず、お運びをしながらジャズクラブで歌っていたころです。

  そんな当時の私の夢は「自分で集めたバンドメンバーでライブハウスに出ること」。そのメンバーは、決して酔っ払って深夜に電話をかけてくるような人じゃなくて、もっと常識があって、私を歌手として認めて音楽的にも助けてくれて、一緒にいて安心できる人たち。変に芸術家を気取っていなくて、心の広い人たち。たとえて言うなら、道に迷った人が「ちょっとお尋ねしますが・・・」って気軽に声をかけられるふんいきを持っている人たち。そういうメンバーでライブをやれたらいいな、とずっと考えていて95年の夏、いよいよその夢が実現し、大越康子一座が誕生したのでした。それから、メンバーチェンジや(一座っていっても拘束力はないものだし)、ライブハウスの場所替えはありましたが、定期的に一座でのメインライブは続いていて、いまは先日バースデーライブを行った上野のアリエスにふた月に一度の割合で出ています。まだまだ先と思ってたCDもベストメンバーで作れたし、いまもうなれっこになってしまっている毎日ですが、こうして振り返って考えてみると、長い道のりだったなー。そして、よくこういういいメンバーにめぐりあえたなあ、とまた幸せな思いにつつまれます。

  ジャズのスタンダードナンバーにI've Grown Accustomed To His Faceという曲があります。ミュージカル「マイ・フェア・レディ」の中の曲なので、ご存じの方も多いと思いますが。
  すっかりなれっこになってしまった相手の存在の大きさに、いなくなってしまって改めて気づくという歌詞。ほかにも、It Never Entered My Mindとか、その種の歌詞の内容の歌はいっぱいあって、私は「だから言ったじゃないの系」と分類してます。有名曲ではSmoke Gets In Your Eyesも似た感じかな。日常や周りの人々に慣れることなく、感謝の気持ちを持ち続けられたらいいかな、などと考えているバースデーウィークなのでした。ほんとうにみんな、ありがとう。I´m Grad There Is You。これも私の好きな歌のタイトル。これからもどうぞよろしく。

  深夜の電話というのは、いまはどこからもかかってきません。もし、あってもいまならナンバーディスプレイ機能があるので、大丈夫。電話がないのは、年とったからかもしれないけれど、全然寂しくないし、すっきり。

  「アメリ」という映画、観に行こうと思っています。内容もよく知らないんだけど、行こうと思ったのは、「幸せになる」というコピーだったから。自分の意志で「幸せになる」という強い気持ちがいいなあ、と思って。楽しみに行ってきます。では、読んでくれている皆さんも幸せになれますように!


大越 康子