タイトル、ハワイ旅行・基礎編
2000年1月に初めて車いすでハワイのオアフ島へ行き、その後5回ハワイ島とオアフ島へ行きました。その時の経験をまとめています。旅行へ行くにはツアーと個人手配の二つの方法があります。私はいずれの場合も個人手配で行きましたが、今は多くの旅行会社が障害者が参加できるハワイツアーを企画しています。希望にあわせてお選びください。

ハワイ旅行についてはガイドブックもたくさん出ています。中でも2007年春、ダイヤモンド社より出版された地球の歩き方『バリアフリー・ハワイ』は、障害者がハワイ旅行をするうえで必要な知識がわかりやすくまとめられていて参考になると思います。このサイトではガイドブックなどで触れられていない情報を中心にお届けします。
 
ハワイ島ヒロ、ココナッツアイランドのフラ
2005年6月・ハワイ島ヒロ、ココナッツアイランド
 車いすで飛行機に
飛行機のチケットは格安チケットを扱う旅行会社や航空会社で直接購入します。予約の申し込みなど、会社とのやり取りはすべてネット経由で済ませることができます。予約時に使用する車いすの重量やサイズを聞かれるので調べておきましょう。格安チケットを個人で購入すると、まれにですが代金を振り込んだのに航空会社には渡っておらず搭乗出来ないなどのトラブルにあうことがあります。あと個人手配の場合、航空機が遅延や欠航した時には代替便の確保など航空会社との交渉は自力で行わなければなりません。ツアーに参加すればこういうリスクを負わなくて済みます。

ハワイへの所要時間は行きが約7時間で帰りは約9時間です。まず航空会社のカウンターへ行き搭乗手続きをします。セキュリティチェックなどを受けた後、職員の指示に従い空港内を移動します。そして搭乗ゲート近くの待合所で搭乗を待ちます。国際線の場合出発2時間前までにチェックインするよう求める航空会社が多いようです。車いすはチェックイン時あるいは搭乗直前に預けますが、航空会社により対応が異なります。あらかじめ航空会社に、車いすであることや全く歩けないことなどを連絡しておくとスムーズに対応してもらえます。空港内は身障者用トイレが各所にあり、搭乗口のすぐそばにもあります。

機内での座席を指定できることもあります。移乗に同行者の手を借りるような場合は、クローゼットやギャレの横など席の前が広い場所が良いでしょう。私は身障者用トイレの近くになるよう頼んでいます。

一般客用の機内トイレは必要最低限の広さしかありません。障害者用トイレも会社によってまちまちで一般客用と同じ広さしかないところもあります。トイレの行き帰りは客室乗務員が車いすを押してくれます。乗務員はそれ以上の事はしません。私の場合、飛行機に乗るときは不測の事態に備えて紙おむつとパッドを併用しています。収尿器を使ったこともあります。

写真はハワイアン航空が関空・ホノルル線で使っているエアバスA330-200 の身障者用トイレです。隣り合っている二つの一般用トイレの仕切りを取外し身障者用として使用します。機内用車いすに乗ったまま中に入りドアを閉め、用を足すことができます。

以前チャイナエアラインを利用したときに、乗務員が抱えてトイレまで移動させると強く言うので任せたことがあります。結果は便器の前で足があっちこっち向いたまま身動きが取れなくなり大変な思いをしました。慣れていて自信があり、親切心から言ってくれているのかと思ったのですが、実際は機内用の車いすを積み忘れただけだったようです。機内用の車いすですが英語ではaisle chair(アイルチェア)と言います。
 
 レンタカーを借りる
空港かワイキキの街中の営業所でも借りられます。空港で借りればホテルまでの足も確保できて便利ですが、長旅で疲れているのに慣れない車、慣れない道で大変です。私が初めてハワイに行ったときは道に迷い、30分ほどで着くはずのホテルまで2時間かかってしまいました。宿泊するホテルにレンタカー会社のデスクがあるような場合は、そこで借りる方が良いかもしれません。
ハーツのナビ
初めてのハワイ旅行で使ったのがハーツで、その後も変更する積極的な理由が無くハーツを使い続けています。ハーツの空港営業所に予約を入れた場合、税関手続きを終えてから個人用到着出口を出て道路の中央分離帯にあるレンタカーのシャトル乗り場へ行きます。・・・2016年、ホノルル国際空港においてレンタカー関係の施設が大幅にリニューアルされました。シャトルなどに乗る必要が無くなったようです。

予約が済んでいれば手続きは簡単です。住所氏名の記入を求められることがあるので、ローマ字を使いアメリカ式の記入方法で書いたカードを持っておくといいでしょう。またナビは絶対にあった方がいいです。ハーツでも借りられますが、スマホがあればスマホのマップアプリのナビで十分です。むしろGoogleマップのナビの方が優秀で使い勝手もいいです。自分のスマホがハワイで使えるかどうか調べておきましょう。

レンタカーのハンドコントロールはステアリングコラムの横についています。押すとブレーキが効き、コラムを軸に反時計回りに回すとアクセルがオンになります。予約時にハンドコントロールを左右どちら側に付けるか指定できます。忘れずに指定して下さい。

またハーツの場合スピナーノブを付けることもできます。希望する場合は日本の予約センターに電話してください。どちらも無料です。慣れるまではかなりぎこちない運転になります。空港内の道路をぐるぐる回るなど、ある程度運転に慣れてから一般道に出るようにしましょう。

運転中怖いのがついつい道路の左側を走りそうになってしまうことです。特に駐車場から出るときなど間違えそうになります。私は「センターラインが左」と書いたカードをダッシュボードに貼り付けて運転しています。結構効果があります。

ハワイでは公園やショッピングセンターだけでなく、小さな飲食店の前にも車いすマークの書かれた駐車スペースがあります。以前は日本の障害者も使えたのですが、何らかの変更があり停められなくなりました。2017年2月にハワイ州観光局の日本オフィスに確認したところ『観光でお越し頂きました方の場合、日本とルールが異なる為 残念ながら日本の証明書をそのまま、ご利用いただくことは出来ません 』とのことです。また旅行の1・2ケ月前にハワイ州のDisability and Communication Access Boardに連絡し、日程を知らせると(日本で発行された許可証のコピーを添付)掲示用の文書を送ってくれます。
 
 車いすでハワイのホテルに泊まる
ホテルはネットで直接予約しました。ハワイ島のヒロ・ハワイアンホテルやオアフ島のヒルトン・ハワイアンビレッジに滞在したことがあります。ヒルトンは日本語のサイトから予約できて車いす対応の部屋(以下ADAルーム)も選択できるようになっています。ヒロ・ハワイアンホテルは英語のサイトしかありませんが、やはりADAルームを指定することができます。予約が完了するとホテルから確認のメールが送られてきます。それのプリントアウトを持参しフロントで見せれば、ほとんど会話しなくてもチェックインできます。

ホテルにもよりますが車いす対応のADAルームには二種類あります。ひとつは右下写真のようにバスタブの無い、いわゆるロールインシャワーの部屋。もう一つは客室や浴室などの出入り口が広いだけで他は一般客室と変わらない部屋。ADAルームとだけ指定するとロールインシャワーの部屋になることが多いようです。浴室にはあらかじめシャワーチェアが置いてあるか、言えば持ってきてくれます。

ネットを使ってホテルを予約する時の注意ですが、ADAルームやツインベッドルームなどを指定しても、確約されるわけではなく、あくまでリクエストとして処理されることが多いということです。実際に、行ってみたら予約していたカテゴリーにはADAルームが無く、別のカテゴリーの部屋に変更になったということがありました。心配な場合は、メールやファクスで確認するか部屋指定確約のツアーなどを利用するといいでしょう。ホテルのトイレにウォシュレットが付いていることは少なく、壁と反対側の手すりが付いていることはほとんどありません。

コンドミニアムについて(2017年10月加筆)
コンドミニアムはホテルの様にADA法の規制を受けません。なのでADAルームを設けていない施設も多いようです。だけどフルサイズのキッチンが使えたり室内に洗濯乾燥機があるのは、やっぱり便利です。ネット上で車いす対応の部屋があることを確認した施設をいくつか紹介します。部屋が確約されるかどうかは直接お問い合わせを。

ザ・インペリアル・ハワイ リゾート・アット・ワイキキ
ザ・グランド・アイランダー・バイ ヒルトン・グランド・バケーションズ
ザ・リッツ・カールトン・レジデンス、ワイキキ・ビーチ

オーシャンフロントに泊まりたい!(2014年8月加筆)
オーシャンフロントでADAルームがあるかどうか、ワイキキの主要なホテルに問い合わせてみました。ハネムーンに行くという車いすの友人に頼まれたのです。ちなみに友人はヒルトン・ハワイアン・ビレッジに宿泊しました。チラッと部屋を見せてもらったのですが、充実の設備と素晴らしい眺望で最高でした。

アウトリガー・リーフ・オン・ザ・ビーチ・ホテル
ヒルトン・ハワイアン・ビレッジ・ワイキキ・ビーチ・リゾート
モアナ・サーフラーダー・ウェスティン・リゾート&スパ
ロイヤル・ハワイアン・ホテル
ハレクラニ
シェラトン・ワイキキ・ホテル

上記のホテルからオーシャンフロントにADAルームがあるという回答をもらいました。今回問い合わせて驚いたのですが、ほかのホテルはすべてリクエストとして処理されるのに対し、ハレクラニだけは予約時に空きがあれば確約してくれるということです。さすがハレクラニ!

この時の問い合わせには回答いただけなかったのですが、ハイアット・リージェンシー・ワイキキにも該当する客室があるようです。
、パークショア・ワイキキ・ホテルのベッド 、パークショア・ワイキキ・ホテルのロールインシャワー 、パークショア・ワイキキ・ホテルのADAルーム
ベッドはキングサイズ1台のことが多い オアフ島、パークショア・ワイキキ・ホテルのロールインシャワー、トイレ
 
 ビーチ用車いすで海水浴

2000年に滞在したときハナウマ湾に行き泳ぎました。ハナウマ湾は駐車場が崖の上にあり、ビーチまでは徒歩かシャトルの車を使います。そしてシャトルを降りた所にビーチ用車いすがあり乗り換えます。このシャトルもビーチ用車いすも障害者は無料です。ビーチにもトイレはありますがビーチ用車いすに乗ってしまうと使いづらいので乗り移る前に済ませておくといいでしょう。

ビーチ用車いすは自分ではこげないので誰かに押してもらうことになります。ビーチ用に太いタイヤがついていますが砂の上では結構力がいるようです。写真はワイキキのフォート・デルッシー・ビーチにある海の家のような所に置かれていたビーチ用車いすです。後ろに吊るされているのがスノーケリングベストで、必ず着用するようお勧めします。

ビーチではシュノーケリングの道具やゴザをレンタルしています。それを借りて海に入ります。泳ぎには自信があるし障害者になる前は海にもよく行っていたのですが、やはり全然違います。シュノーケルに水が入ったときは慌ててしまいパニックになりかけました。手の届かない深さの所へ行くときは必ず健常者の付き添いがいた方がいいと思います。それから膝を保護するサポーターのようなものを用意しておくといいです。泳いだあと擦り傷ができてました。

海は波の強い時季だったせいか少しにごっていて珊瑚も魚も見ることができませんでした。でもなにしろ障害者になって初の海水浴ですし、屋内のプールで泳ぐのとは全然違う感動がありました。本当に行って良かったです。

ハナウマ湾だけでなくほかのビーチでもビーチ用車いすを借りられる所があります。これはホノルル市・郡が行っているサービスで、ビーチにプラスティックのマットを敷いたりもしています。詳しくはホノルル当局のオフィシャルサイト(英語)をご覧下さい。

 
 排泄

排便は、便秘がちになることが多いのですがあまり困ったことはありません。排尿の方はハワイに行くと漏れがちになることが多いです。気候や食事の変化、あるいは時差や疲れのせいかもしれませんが、かなり尿量が不安定になります。パッドは常につけているのですが日本から持参した物を使いきってしまい、現地で購入したこともあります。ワイキキにあるアラモアナ・ショッピング・センターのロングスドラッグズというドラッグストアで購入しました。ここにはパッドのほかにも大人用紙おむつが2、3種類置かれていました。収尿器を使えばパッドは必要ないのですが膀胱炎になりやすくなるため、あまり使わないようにしています。

オアフ島では使えるトイレを探すのに苦労したことはありません。ハワイ島は人口が少なくビジター用トイレ自体あまりないので、長距離の移動のときはあらかじめ目星をつけておいたほうが良いでしょう。ハワイのトイレは日本のように独立した部屋があるわけではなく、一般用の中に広めの個室を設けている所がほとんどです。そのせいか一般の人が使用中ということが多かったです。公園のトイレでも使えないほど汚れてるという所はなかったし、紙は必ず置いてありました。ですが公共のトイレで日本の道の駅のトイレのように状態の良い所は見たことがありません。

   ハワイのトイレなど  
パークショア・ワイキキホテルのトイレ クルーズ船のトイレ アラモアナSCのトイレ
パークショア・ワイキキホテル クルーズ船 アラモアナSC
ホノルル空港のトイレ ハレイワ・アリイ・ビーチ・パークのトイレ パッドと紙オムツ
ホノルル空港 ハレイワ・アリイ・ビーチ・パーク パッドと紙オムツ
 
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