コードやらモードやらの音の組み合わせの集合同士を見渡せば、∩∪⊂⊃などといった様々な関係があります。時間の流れに沿って進む音楽を考えると、共通する音、特徴ある音、含まれる関係、付け足される音などによって、音楽に呼吸が生まれるわけです。ここではこの呼吸を、ペンタトニックの観点から整理しようと試みます。
さてドレミソラのペンタトニックから、5つの音それぞれを中心音だと思うと、5つのペンタトニック・モードができます。中心音を揃えて、共通する音の多い似た者同士を隣りに来るように並べると、
| モード1 | モード2 | モード3 | モード4 | モード5 | |
|---|---|---|---|---|---|
| R | o | o | o | o | o |
| M7 | |||||
| m7 | o | o | o | ||
| M6 | o | o | |||
| m6 | o | ||||
| P5 | o | o | o | o | |
| b5/#4 | |||||
| P4 | o | o | o | o | |
| M3 | o | ||||
| m3 | o | o | |||
| M2 | o | o | o | ||
| m2 | |||||
| R | o | o | o | o | o |
のようになります。メジャー・ペンタトニック(モード1)とマイナー・ペンタトニック(モード4)以外は一般に呼ばれる名称はないようですが、山下邦彦さん[1]による命名などを一部拝借しつつ、下記のように呼ぶことにします。
で、突然ですが、この5つのモードが和声の機能であると思うことにします。これがここでのエッセンスです。
| モード1 | モード2 | モード3 | モード4 | モード5 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 名前 | major | fl6th | fl7th | minor | m#5th |
| 機能 | T | SD | DM | TM | SDM |
と思うことにします。読み方は、
です。機能のところのDMは「ドミナント・マイナー」のつもり、Vmのサウンドです。Dolphin Danceの2つめのコードですね。ポピュラーでは比較的たくさん出てくるようにも思います。
あれれ機能にドミナントがない。うーむ、そんなのでいいのでしょうか。これについては、あとで考えることにします。
それぞれのペンタトニックに含まれる、基本的な3和音は以下のとおりです。
| major | fl6th | fl7th | minor | m#5th |
|---|---|---|---|---|
| I | IV | bVII | bIII | bVI |
| VIm | IIm | Vm | Im | IVm |
| VIsus4 | IIsus4 | Vsus4 | Isus4 | IVsus4 |
| IIsus4 | Vsus4 | Isus4 | IVsus4 | bVIIsus4 |
| Vsus4 | Isus4 | IVsus4 | bVIIsus4 | bIIIsus4 |
こいつらをみると、機能もなんとなくすーっと入りますね。
もともとは、ペンタトニック的なフレーズを3和音の組み合わせで弾くことを意識してこの表を作ったのですが、長短3和音がどこかで見たようなグループ分けになってるなと思い、「和声の機能と思ったらどうかしら?」と、この考え方のきっかけとなりました。