地デジ特需の反動でひん死のキズを負ったテレビメーカーの再建方向が少しづつ明らかになりつつある。パナソニックは社会インフラをこうすると言う。東芝、日立、三菱が比較的安定しているのはこの部門のおかげなのでこれを指向するのは分かる。ただ、重電機部門はそんなに強くない。しかし、旧松下電工が持っていた住建関連事業、旧三洋のエネルギー関連技術を活かせばユニークな地位が確保できるかもしれない。 シャープはホンハイの支援を受けざるを得なかった。内容は分からないが仕事を回してもらい稼働率のかさ上げが出来たことが採算改善に大きく寄与したはずだ。性格的にはパーツメーカーへのシフトを強めたと捉えることが出来る。パーツメーカーになることは悪いことではない。京セラ、ムラタ、TDKなど技術で差別化しているメーカーは日本には多い。成果を期待したい。 ソニーはテレビへのこだわりが強く、良く分からないが今回の決算予想を見る限り、エンターテイメントと金融が救ったようだ。とりあえずサービス指向を強めたようだ。世はサービス産業化と言われている。天下のGEだって金融が稼ぎ頭になっているから案外当たっているかもしれない。 テレビ事業の後始末ばかり注意していたら、被害が比較的小さかった東芝が再挑戦すると言う。やはり魅力的に映るのだろうか。確かにテレビは家電の象徴的な存在で育ててきたブランドが棄損するのを見ているのは辛い。独特のビジネススタイルも魅力的だ。縮小した企業も少し落ち着いたら再度注力することだろう。それだけではない。ELをはじめとする要素技術のイノベーションは続くと予想されている。そして新路線が成功せず消極的回帰だって考えられる。 その時は、時代を直視する必要がある。マスコミの象徴であったテレビはパーソナル化とモバイル化で他の機器に代替してしまった。情報世界が変わったのだ。この点をどう捉え、どんなテレビ(大型家庭用ディスプレイ)を出すのか良く考えなければならない。