◆研究企画室◆
ITTが提案する新しい研究テーマ
理科嫌いをなくすには
新聞にスズメの生態を生涯研究していた先生の話が載っていた。私はこの先生の出身研究室を知っている。信州大学の教育学部のある研究室だ。この研究室に入ると学生は身近な鳥をテーマとして与えられる。スズメはその典型だがカラスとかハト、ツバメ、ヒバリといった類だ。以前、善光寺のハトについての研究を読んだことがある。観光客に頼って生きている彼らは観光客がいなくなる冬にバタバタ死ぬと言う冷酷な事実を知ってショックを受けたことがある。
この研究室に入ると1年間鳥を追い続ける。そして多くの学生は卒業しても研究を続ける。ほとんどが学校の先生になるから赴任地でも鳥を追いかける。これは本人にとって大変幸せなことだ。
こんな先生がいることは教育にとっても素晴らしい。身近な鳥だから先生は子供に鳥の話をするはずだ。生徒を連れ出し一緒に観察をすることもあるだろう。ツバメが飛んできたら教えてくれとか、スズメの巣があったら教えてほしいなんて子供に言っているはずだ。小さな部落なら大人も協力すると思う。時々学会いに行ったり、母校に帰って成果を報告したり、相談をすることもあるだろう。その様子も子供に話すことがあるだろう。こんな先生が身近にいたら先生の様になりたいと思う子が出てくるはずだ。長野では毎年こんな先生が誕生していた。
いまこの研究室がどうなっているか知らない。先生個人でやっている研究なんか学校では話さない雰囲気になっているかもしれない。子供を観察に連れ出そうとすると面倒な手続きがあって気軽にはできないかもしれない。話はたまたま鳥がテーマだったが他のテーマでも同じだ。なにかに夢中になる先生がいて、それが子供に伝えられることが教育のなかにあればよいと思うのだが。
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