JR1UIA amateur radio station since 1971
電源部
ざっと見たところ電源部に増設したと思われる10マイクロFのケミコンが外れています.何かのショックでも受けた
のでしょうか・・・とりあえず元の場所と思われる整流用ダイオードの負荷側にハンダ付けします.平滑抵抗が2kオー ム×2で4kもあります.二つの抵抗の接続部からOPTの電源側へコードが延びています.PA段へ整流直後の電源 を持っていきたくないのでいったんコンデンサと抵抗を介した後にOPTへ供給しようとしたようです.気持ちはわかりま すがこれでは抵抗値が高すぎで電力ロスが大き過ぎます.
PTに近い側の抵抗を2kオームのホーローから手持ちの1kオームのセメント抵抗に変えました.6AR5のプレート
電圧が190Vから250Vに増加し6BA6のプレート電圧も100Vから140Vと40V程度増加し充分なゲインが見込 める電圧となりました.
白色の直方体がセメント抵抗
コイル
ANTコイルのベーク製ボビンが割れてベース部との止めネジがバカになっています.横方向からの強い力のせい
です.こういったことを防ぐためにも自作品もぜひケース入れてあげたいものです.少なくとも前面パネルを立てることに よって使い勝手は大きく改善します.このリグは高1中2という当時の実用レベルの製作物なのにケースに対する配慮 があまりにもなさ過ぎます.予算がそこまでも回らなかったのでしょうか.
コイルはいったん取り外しベークホビンの破損していない側に固定穴を開け再度ベース部に固定してシャーシに取り
付けました.
コイルの改造跡
S−I コイルは7.5MHz〜14.5MHz用ですがこのときのバリコンは180pFのものを使用することになっていま
す.ところがANT,RF,OSCの各コイルには250pFのマイカコンがパラに取り付けられています.同調範囲がかなり 下げられています.バリコンがローターの間引き改造を施してあるので当初14MHzバンド用と思ったのですが,どう やら7MHz帯用のようです.
OPT
シャーシ上にOPTが見当たりません.昔はよく見られたOPT付のSPを使用する設計です.
PAは7ピンの60.5ミリ管です.6AQ5か6AR5と思われますが表示が剥がれて判読できません.これがわからない
とOPTの1次側インピーダンスがわかりません.
何か見分けるヒントはないかとソケット周辺をみているとカソード抵抗が目に留まりました.「そうそう抵抗値だ!」
Ep250Vなら6AR5は約480オーム 6AQ5はその半分くらいです.調べると500オームが付いているので6AR5
と断定しました.OPTは7.6kオームを使用しなければなりません. さて・・・
たしかあの箱の中にあったはず・・・並3PTやブラウン管用ヒータトランスと一緒にダンポール箱の底に入っていたO
PTを引っ張り出しました.これは中学生の頃,ゴミ集積所から拾ってきてはバラしたテレビの部品の一つです.当時す でにジャンクだった部品ですから製造からは40年ほど経過しているはずです.高校卒業後11回転居しましたがこれ は実家の納屋の取り壊しの時に出てきたもの.よく処分されずに残っていたものです.
OPT 錆だらけだが絶縁はOK
いったんは鳴ったけれど・・・
OPTを取り付け7MHzバンド用のスローパーを接続して電源を入れてみました.
6M帯のRADIO KOREAが大きな音で入りましたが5分ほど経つとフェードアウトします.後はどこを探しても放送は
聞こえません.
いったん電源を切ってしばらくして再投入するとまた同じことが起きます.
この症状はどこかで出合った覚えがあると思ったら,ST管6球スーパーの時と同じです.
6AV6のプレートと6AR5のグリッドをつなぐ0.01マイクロが絶縁不良を起こすと6AR5のグリッドはプラス電位と
なりこの症状が発生します.そのままにしていると球がボケてしまいます.案の上チェックしてみるとグリッド電圧はプラ ス側に振れました.0.01のオイルコンを新品のセラミックと交換しました.
NGだったオイルコンデンサ
まだNG
オールコレクト.これで大丈夫と電源を入れてみましたが症状が変わりません.
手元にはHF受信機以外にはロクな測定器がありません.しかたないので低周波段から順にグリッドに触れてみま
す.真空管の工作の特徴は感電の危険を伴うことです.理屈では大丈夫とわかっている箇所でもこんな作業はドキド キします.
古いラジオをいじるつもりならデジタルディップメーターくらいは持つべきですね.(^_^;
LOだ!
MIX・IF段から下は問題ないようです.ドーモ局発が怪しい.この付近を徹底的にあたることにしました.
まず別の受信機を発振していると思われる周波数付近に設定し,本体のバリコンを何度も往復して見ます.これが
まったく反応しません.局発の発振が止まっているのがすべての原因みたいです.
局発(6BE6)のグリットの20キロオームをチェックすると約200Kオームもあります.経年変化で抵抗値が10倍に
もなっています.さっそく交換です.
経年劣化で抵抗値が10倍に!
6BE6(LO)のプレート電圧を調べると本来100V程度のはずが50V程度しかありません.プレート抵抗の10kオ
ームは劣化していないので球のインピーダンスが低下しているように思われます.が別球に変えてもあまり変わりま せん.しかたないので5.6kオームに代えて約70ボルト程度になりました.
L型抵抗 こちらは劣化していない
局発の出力を混合段に注入するラインが直結になっています.どうにも落ち着かないのでこのラインは50pFを割り
込ませてDCカットし双方のグリッドを新たに抵抗で接地しました.
カラーコードの抵抗が今回交換・増設したもの
受信可能に
受信は出来るようになりました.今日は11月30日ですが7Mバンドの電信でCQWWコンテストの様子が勢い良く
入感してきます.しかしバリコンが半分程度抜けると発振が止まってしまいます.トラッキング調整がまだなのでコイル に附属のトリマーコン触れるとまったく入感しなくなります.コイルが規格外の使用方法なので局発が不安定なようで す.各部の調整をもう少し行った後に保存か解体かを決断したいと思います.
その後資料をあさったところ6BE6(LO)のB電圧が低すぎるのが不安定の原因と判明しました.対策として安定化
用のプレート抵抗(10kオーム)に印加する電源を平滑回路を通過した約150VのラインからPA用250Vラインに変更し ました.6BE6(LO)のプレート電圧は約100Vとなり10kオームでのドロップは150Vと充分なマージンをとれるように なりました.この改造の結果バリコンの全ての位置で発振が継続し,トリマやコアに触れても発振強度の変動はなく なりました. OSCコイルのトリマとコアをセンタあたりに仮固定しバリコンを回して発振範囲を測定してみると7.1Mc から8.3Mc.ということは概ね6.6Mcから7.8Mc程度が受信範囲になるようです.(2003/12/29)
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