折り織り草紙
反近代の夢は、失われた時の甘美でしょう。
現代ファンタジーの古典・指輪物語の世界には、
男たちの友情の切なさと、移りゆく時代への哀惜が満ちています。
若き左大臣が、子孫に読ませるための男色日記を書き残した院政期。
はるか縄文の昔から明治にいたるまでの、長い男色史の謎とは?
戦国時代の宣教師もあきれた、日本列島総男色模様。
大正時代に流行った『ゴンドラの唄』の元歌は、
イタリアルネサンス、花のフィレンツェで生まれたもの。
その間をつなぐ、19世紀凋落のヴェネツィアと激動のドイツ、
そして明治浪漫主義の来し方行く手をたどります。