ウェーヴレット序奏 (Wavelet Introduction) v1.5.3


ウェーヴレットとは 局所的に周期的な信号を時間の変化のなかで捉える 時間周波数解析の方法のひとつで、連続ウェーヴレット変換 CWT (Continuous Wavelet Transform)と離散ウェーヴレット変換 DWT (Discrete Wavelet Transform)などがあります。

(それ以上の説明は専門書やインターネットを参考にして見て下さい;)

その離散ウェーヴレット変換 (DWT)のJavaプログラム FWT (Fast Wavelet Transform)が出来ましたので ピアノの音などを見てみます。

(以下 左の「WAV」ボタンでは waveファイルが再生されます。
そしてJWVで見た FFT(フーリエ変換)の図と その右にwavelet変換(FWT)の図です)

  1. スイープ信号 (Sweep)

    sweep wave file(22KB) sweep FFT sweep Wavelet

    初めに 周波数が連続して変化するスイープ信号です。
    1〜の段階(Jもしくは Octave)で その周波数の高さをオクターブ毎に表します。
    スパイクで音の大きさを表しています。

    Wavelet変換は FFTのように周波数を特定するものではありませんが その連続的な変化をある程度捉えています。

  2. A(49) 440[Hz]

    a49 wave file(33KB) a49 FFT a49 Wavelet

    周波数の一定した音は連続したスパイクで表されます。

  3. 矩形波 (square) 442[Hz]

    square wave file(22KB) square FFT square Wavelet
  4. パルス信号 (Pulse)

    pulse wave file(22KB) pulse FFT pulse Wavelet

    Wavelet変換ではそのパルス性をよく捉えています。

  5. サイン波とパルス (Sine wave & Pulse)

    sine-pulse wave file(22KB) sine-pulse FFT sine-pulse Wavelet

    サイン波に 2サイクルのパルス信号が加わった信号です。
    よく分離して認識されます。
    そうした性質から 音声信号の雑音を取り除く為に利用されたりします。

下のボタンを押すと離散ウェーヴレット変換の Javaアプレットが動作します。

MD5 (fwt.zip) = 272ac36e4562778509db83293dcc376f
Fwt gif (S M L)  Source File ・ fwt.zip (SIZE = 8418)
〔項目内容〕
  1. sweep.wav : Sweep wave
  2. a49.wav : A(49) 440[Hz]
  3. square.wav : Square 442[Hz]
  4. pules.wav : Pules
  5. sine-pulse.wav : Sine wave & pules
  6. hototogisu.wav : ホトトギス(鳴き声)
使い方:

これまでのWave信号を離散ウェーヴレット変換(FWT)などで見てみます。
View Wave Files

参照>連続ウェーヴレット変換 (Continuous Wavelet Transform)


参考までに周波数発信器(サンプリング周波数 (※)44100[Hz]に固定)とした 離散ウェーヴレット変換を見て見ます。

MD5 (ofwt.zip) = 3665d470e15a6a0d0a64e3353cc4d562
OFwt gif (S M L)  Source File・ofwt.zip (SIZE = 6678)
使い方:

例えば JWV(Java Wave Viewer) での「Fille.wav」を見て見ます。

fille FFTFig-1 fille WaveletFig-2

FFT(Fig-1)では基音が途中から増加するようにも見えましたが Wavelet変換 (Fig-2)では打鍵時にも十分ある様に検出されます。

ピアノの打鍵音にはもっと多くの倍音が含まれていると思っていました。
しかしウェーヴレット変換でも特に多い様には見受けられません。
専門書などでの測定機器では 高い倍音まで出ているので このような条件での測定では十分でないのかも知れませんが、 ピアノ以外のギター・ハープ・マリンバなどでは高い倍音が出ています。

そこから こうした音声信号からでもピアノらしい音が聞こえるのは、 その中にピアノの音の基本が含まれているからで ピアノの音の特徴は その叩く(打鍵)という発音方法と、インハーモニシティと言う 独特の倍音構成にある様に思われます。

参照>振動と波動 (Oscillation and Wave) 3.弦の振動
参照>インハーモニシティについて (Inharmonicity)

さて これまで御覧のように 弦の振動・楽音信号の波形・フーリエ変換・ ウェーヴレット変換・インハーモニシティのある倍音のうなりの図・ 音階のグラフ・五度圏図 など様々な音の見方がありますが ピアノのTuningやVoicingで そうした音形のイメージを思い描きながら行うのも 一つの方法かも知れません。


参考文献:
Dobashi.M
Last modified: 1月 03日 火 10:04:15 2023 JST